工業用の耐熱・断熱シートとは
工業用の耐熱・断熱シートとは、機器や部品の高温部位に組み込み、熱の伝わりを抑えたり、周囲の部品や人を熱から守ったりするための薄いシート状材料です。住宅用の断熱材と違い、限られたスペースに「薄く・軽く」組み込めること、高温でも性能が落ちないことが求められます。
なぜいま「薄い断熱」が求められるのか
電動化・電子化・省スペース化が進むほど、発熱源と保護したい部品の距離は近くなります。分厚い断熱材を入れる余裕はなく、「薄く、それでいて確実に熱を遮る」材料へのニーズが高まっています。EVのバッテリー、電子機器、データセンターの発熱機器などが典型例です。
使用温度域と素材の対応(工業用の断熱材マップ)

工業用の断熱材は、使用温度域によって選ぶ素材が変わります。代表的な素材を温度域ごとに整理し、そのなかで当社が得意とする抄造系(機能紙)の位置づけも示します。
〜200℃級(低温)
発泡樹脂系(ポリエチレン/ウレタン/フェノールフォーム)、グラスウール、ロックウール、ゴム発泡(エラストマー)などが中心。当社の紙系・有機繊維系の抄造シートもこの領域で、軽量・薄手・打抜き加工性の良さが強みです。機器カバー、配管、結露対策などに使われます。
〜600℃級(中温)
ガラス繊維(ガラスクロス・グラスウール)、ロックウール、シリカ繊維、バーミキュライト、マイカ(雲母)板など。マイカは耐熱と電気絶縁を兼ねるため電池まわりでも使われます。当社では特殊耐熱繊維やガラス繊維を配合した抄造シートがこの領域で、薄く組み込めるのが特長です。エンジン排気周辺・産業機械の高温部など。
600〜1000℃超(高温)
セラミックファイバー(アルミナ・シリカ系、生体溶解性AES繊維を含む)、けい酸カルシウム、無機繊維ボード、耐火れんが・キャスタブルなど。工業炉・耐火用途が中心の領域です。当社の無機繊維系グレードも850℃×1時間で強熱減量14%を確認しており、600〜1000℃級の高温域までは対応可能です(1000℃を超える超高温域は他素材と組み合わせてご提案します)。
温度域を横断する高性能材
エアロゲル系・マイクロポーラス断熱材、真空断熱材(VIP)など。薄さと高い断熱性を両立でき、EV電池・データセンターなど省スペースが厳しい最新用途で採用が進んでいます。
断熱材の主な性能指標

断熱材を比較・選定するときに確認する代表的な指標です。熱伝導率が主役で、使用温度上限・密度・強熱減量あたりが実務でよく効きます。
代表的な用途

- エンジン・排気まわりの遮熱
- EV・蓄電池のバッテリーパック(セル間・蓋の断熱/耐熱)
- データセンターの発熱機器・蓄電設備まわり
- 産業機械・調理機器・ヒーター周辺の高温部位
特にバッテリーやデータセンターは、薄型・高耐熱の断熱材ニーズが急速に伸びている領域です(詳しくは第2・第3記事)。
断熱シートを選ぶときの基本5項目
- 使用部位(どの機器の、どこに使うか)
- 使用温度(常用/最高温度)と時間
- 必要な厚み・スペースの制約
- 求める機能(断熱だけか、絶縁・遮音・耐炎も兼ねるか)
- 数量(量産/小ロット/試作)
セキネシール工業の立ち位置
セキネシール工業が得意とするのは、「薄く・軽く・打抜きできる」抄造シート系の断熱紙です。紙系・有機繊維系は〜200℃級、特殊耐熱繊維やガラス繊維を配合したグレードは〜600℃級、無機繊維系グレードは850℃×1時間で強熱減量14%を確認しており600〜1000℃級まで対応します。ユネスコ無形文化遺産・細川紙(小川和紙)の抄紙技術を礎に、0.075〜3.9mmの厚みを作り分け、配合・含浸・表面処理・打抜きまで自社で完結。ガラス繊維・無機材料を配合し、断熱と絶縁を1枚で兼ねる薄物設計に強みがあります。1000℃を超える超高温域やボード系は、他素材と組み合わせてご提案します。