紙製ガスケットとは?特徴と用途

紙製ガスケットとは

紙製ガスケットとは、クラフトパルプや特殊耐熱繊維を主原料とし、ゼラチン・ゴム・薬品で含浸・表面処理した紙質のシール材です。「紙」と聞くと頼りなく感じるかもしれませんが、工業用紙製ガスケットは含浸技術と抄造技術によって耐油・耐溶剤・耐圧性を付与された立派な機能材料です。

紙製ガスケットの主な種類

紙製ガスケットの主な種類

① クラフトパルプ系オイルシート

クラフトパルプを原料とした原紙に、ゼラチン・柔軟剤・防腐剤を含浸(品番により合成ゴムで表面処理)した紙質ガスケット。代表的なグレードは以下のように使い分けられます。

  • S105R:純粋なクラフトパルプ系。非常に安価、温度変化に対する伸縮が小さい。標準使用温度域は-40~120℃。
  • No.300/No.500/No.550:基本グレード。空気・水・低圧油のシール。
  • No.600/No.600K:耐油性・耐溶剤性を強化。耐久性、相手面なじみ性に優れる(標準使用-40~150℃)。
  • No.700M:吸湿性が少なく、伸縮が小さく、熱老化しにくい上位グレード。

② バルカナイズドファイバー

セルロースを塩化亜鉛溶液で膨潤・自己接着させたセルロースナノファイバー材料。「赤ファイバー」とも呼ばれ、強靭性・絶縁性・耐熱性(120~150℃)を持ち、各種ガスケットや絶縁ワッシャー、機械部品の構成材として使われます。生分解性に優れる環境配慮素材でもあります。

③ 特殊機能紙ガスケット(抄造系)

ビーターシートリサイクルシート、など、特殊耐熱繊維・無機粉体・合成ゴムを抄造したシート。広義には紙製ガスケットの一種です。

紙製ガスケットの主な特徴

紙製ガスケットの主な特徴
  • 打抜き加工性が良い:トムソン型で安価かつ高速に大量生産可能。
  • 軽量・低価格:金属系・複合系に比べ、材料費・物流費が抑えられる。
  • 相手面なじみ性が高い:圧縮率が大きく、低面圧でもシールが成立。
  • 耐油・耐溶剤性(含浸処理タイプ):燃料、潤滑油、不凍液、雨水、空気のシールに対応。
  • 環境配慮:生分解性、リサイクル可能性、ノンアスベスト。
  • 幅広い厚みレンジ:0.3mm~数mmまで設計自由度が高い。

紙製ガスケットが活きる用途

  • 自動車・二輪車のエンジンカバー、ミッションカバー
  • 農業機械・建設機械の減速機、油圧機器カバー
  • 産業機器の点検口、ケース部位
  • 電気機器の絶縁ワッシャー、スペーサー(バルカナイズドファイバー)

注意点:得意領域と不得意領域

紙製ガスケットの得意・不得意領域

紙製ガスケットは比較的熱のかからない領域(150℃前後まで)が中心。高温・高圧領域(蒸気・燃焼ガスなど)には向かず、その場合はビーターシート・ジョイントシート、あるいはセミメタリック/メタルガスケットを選ぶ必要があります。また、強酸・強アルカリ環境にも適しません。

セキネシール工業が紙製ガスケットの第一人者である理由

セキネシール工業のルーツは1860年代の和紙づくり。1946年に4代目・関根照夫が手漉き工法による紙ガスケット「オイルシート」を考案したのが、現在の紙製ガスケット事業の原点です。以後80年にわたり、

  • クラフトパルプ系オイルシート(多品番)
  • 特殊耐熱繊維抄造ビーターシート
  • リサイクル可能ビーターシート
  • ノンアスベスト品(1985年~)

と、紙×ガスケットの可能性を広げ続けてきました。「何でも紙(シート)にできる開発力」は、当社が長年掲げる強みです。配合・抄紙・含浸・表面処理を自社で一貫管理しているため、用途別にカスタムグレードを組成できます。

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