固形と液状、本質的に何が違うのか
固形ガスケット(シート状・成型品)と液状シール材は、シール原理が根本的に異なります。
固形ガスケット:弾性のあるシート/成型品をフランジ間で圧縮し、その反発力で隙間を塞ぐ。
液状シール材:液状の材料を塗布、硬化させる過程で接合面に密着・接着して隙間を塞ぐ。
この違いが、製造ライン適性/補修性/コスト/信頼性の差につながります。
液状シール材の代表:FIPGとCIPG
FIPG(Formed In Place Gasket)
液状ガスケットを片面に塗布し、未硬化のうちに合わせて圧着、その後硬化させる方式。RTVシリコーンが主流で、エンジン・トランスミッションのカバー類で広く使われます。塗布時の追従性が高く、フランジ面精度をさほど要求しないのが特長。
CIPG(Cured In Place Gasket)
片面に塗布後、先に硬化させてから合わせ面を密着させる方式。硬化したエラストマー本体がガスケット形状を持ち、固形ガスケットと液状ガスケットの中間的な性格を持ちます。メンテナンス時の開閉が容易で、リペア性が高い点がメリット。
比較表:固形 vs 液状(FIPG/CIPG)

どちらを選ぶか――5つの判断軸

- 量産規模とライン構成:高量産・自動塗布ラインなら液状、補修や少量なら固形が有利。
- シール面の精度・コスト:粗い鋳肌→液状が有利/加工面前提→固形でも可。
- メンテナンス頻度:頻繁に開閉する装置→固形(または再使用可能なCIPG)が圧倒的に楽。
- 温度・薬品環境:高温・耐薬品ならビーターシート/メタル系の固形が安全。
- 設計の手戻りリスク:液状は塗布条件・前処理(プラズマ等)に品質が依存しやすい。
実務での「使い分け」現場感
たとえば自動車エンジンでは、カムカバー=FIPG、オイルパン=固形ビーターシート、またはFIPG、ヘッドガスケット=メタルガスケット、ECUケース=CIPG……というように、部位ごとに最適なシール戦略が組まれています。液状=新しい・固形=古い、ではありません。それぞれ得意領域が明確に住み分けされています。
固形+液状のハイブリッド設計
近年は「固形ガスケット+ガスペースト塗布」のように、両者の長所を組み合わせる設計も増えています。固形の信頼性をベースにしつつ、ガスペーストで微小漏れと固着を防ぐアプローチです。
セキネシール工業の立ち位置
セキネシール工業は固形ガスケット(特殊機能紙系)の専門メーカーですが、お客様が液状ガスケットからの置き換えを検討される際にも、固形側の最適解を中立にご提案できます。
- 「FIPGの塗布工程をなくして組立工数を減らしたい」→ ビーターシート/オイルシート/シスコメタルへの切替提案
- 「液状で漏れが収まらない鋳物ケース」→ ビーターシートで鋳肌を吸収する解
- 「リペア性を高めたい」→ 固形+ガスペースト構成
エンジン部位を中心に約170社の量産納入実績で蓄積したノウハウを活かし、貴社の量産ラインに合うシール戦略を一緒に設計します。