ガスケット材とは?種類・材質の比較表と選び方(シール材・パッキンとの違いも)

ガスケット材とは?まず一言で整理

ガスケット材とは、部品と部品の接合部に挟み込み、流体・気体の漏れや異物侵入、振動の伝播を抑えるための「材料」です。フランジ、エンジンカバー、ハウジング、ケースなど、ボルト締結される接合面に薄板状で挟み込まれ、密封(シール)と保護を担います。

JIS B 0116(パッキン及びガスケット用語)では、ガスケットは「フランジ継手などの静止部分に用いるシール(固定用シール)」と定義されています。回転・往復運動部に使われる「パッキン」と区別される点が、設計の出発点となります。

ガスケット材はどこで使われているか

ガスケット材の用途分野

自動車エンジンのオイルパンやヘッドカバー、排気系、配管フランジ、ポンプ、コンプレッサなど。共通するのは「ここで漏れたら困る」「ここがズレると性能が落ちる」「ここが振動で痛むと困る」という困るポイントを守ることです。

ガスケットの種類

ガスケットは構造によって大きく3つに分かれます。温度・圧力は一般的な上限の目安です。

種類主な材料使用温度の目安使用圧力の目安向いている場面
ソフトガスケット
(非金属)
紙、繊維+合成ゴムのシート、ゴム、PTFE、膨張黒鉛 など〜300℃〜3MPa低温・低圧のフランジやケース。相手面へのなじみ重視
セミメタリック鋼板+非金属シートの複合、うず巻形、メタルジャケット形〜500℃〜10MPa排気系の高温部、高負荷のケース部位
メタルガスケット軟鋼、ステンレス、銅、アルミ、チタン〜800℃〜45MPa級高温高圧の配管、シリンダーヘッドなど

1)ソフトガスケット(非金属)

相手面に多少の凹凸があっても密着しやすく、締付力をあまり取れない箇所に向きます。油・燃料・不凍液・水など、比較的温度の低い流体に使われます。

2)セミメタリックガスケット

芯の鋼板が強度と耐熱性を、表面の非金属層がなじみ性を担います。ソフトガスケットでは熱に耐えられない、または締付荷重でシートが横に流れてしまう箇所に使います。

3)メタルガスケット

プラント配管の高圧フランジやシリンダーヘッドなど、温度も圧力も高い箇所向け。相手面の平面度と締付管理が厳しく求められます。

紙系ガスケットとは

ソフトガスケットの一種で、クラフトパルプの原紙に薬品や合成ゴムを含浸したものです。安価で打抜き加工しやすく、自動車のカバー部や潤滑油・燃料系で長く使われています。耐熱性は120〜150℃程度までです。詳しくは紙ガスケットの解説をご覧ください。

シール材・ガスケット・パッキンの違い

用語意味例
シール材「漏れを止める材料」全般を指す広い言葉ガスケット、パッキン、液状ガスケット、Oリングを含む
ガスケット接合部に挟み込む固定用シールフランジ、オイルパン、ケースの合わせ面
パッキンガスケットと同義に使うこともあるが、Oリングや運動用シールを指すことが多いOリング、グランドパッキン

「シートガスケット」「ガスケットシート」「シートパッキン」は、いずれもシート状に成形したソフトガスケットを指す呼び名です。

ガスケット材の選び方

ガスケット材を選ぶ基本5項目
  • 使用部位(フランジ、カバー、オイルパン など)
  • シール対象(油・水・蒸気・気体・粉塵 など)
  • 使用環境(温度・圧力・振動・屋内外)
  • 形状と寸法(図面または現物)
  • 数量(量産/小ロット/試作)

この5つが揃うと、メーカー側の提案精度が大きく上がります。なかでも最初に絞り込みやすいのは温度です。

当社のガスケット材 比較表

当社の標準品を、使える温度が低い順に並べました。同じ非金属(ノンメタリック)でも、原料が違えば使える温度も特長も変わります。

製品分類主な組成標準使用温度標準使用面圧特長
オイルシート
S105R/No.300/No.500/No.550
ノンメタリック
(紙質)
クラフトパルプの原紙に、ゼラチン・柔軟剤などを含浸加工−40〜120℃—耐油・耐溶剤性に優れる。非常に安価
オイルシート
No.600/No.600K/No.700M
ノンメタリック
(紙質)
上記原紙に含浸加工し、耐油性合成ゴムで表面加工(No.700Mは合成ゴム・合成樹脂を含浸)−40〜150℃—表面のゴム被膜で相手面へのなじみが非常に良い
ビーターシート
AF70/AF74
ノンメタリック特殊耐熱繊維・補強材・合成ゴム
(AF70は耐油性、AF74は油膨潤性のゴム)
−40〜200℃7〜78MPa圧縮率が高く、相手面へのなじみが非常に良い。抜き加工性が良い
BSジョイントシート
AF2000/AF2400/AF2800
ノンメタリック特殊耐熱繊維・無機質補強材・合成ゴム
(AF2000・AF2800は油膨潤性、AF2400は耐油性のゴム)
−40〜200℃2〜147MPa(AF2000)
12〜392MPa(AF2400)
4〜98MPa(AF2800)
低面圧から高面圧まで幅広く使える。応力緩和率が低い
リサイクルシート
AF5400/AF5800
ノンメタリックBSジョイントシートの組成に再生原料を配合−40〜200℃2〜147MPa(AF5400)
12〜392MPa(AF5800)
ジョイントシートの代替でコストダウン
シスコメタル
ES020/FS020S2
セミメタリック鋼板(SPCC)の両面に、繊維・無機質補強材・耐油性合成ゴムのシートを接着−40〜300℃—鋳巣や表面粗さを吸収。過大荷重でも横流れしにくい
スチールベスト
AF1810SB/AF1800L/AF1800LL
セミメタリック両面フック付き鋼板に、特殊耐熱繊維・無機質補強材・少量の合成ゴムのシートを圧着−40〜500℃—強度が大きく耐熱性に優れる。排気系向け

※ 当社カタログ記載の標準値。「—」は面圧の記載がないもの。当社の標準品はすべてノンアスベストです。物性値は各製品ページに掲載しています。

よくある質問

Q. 紙のガスケットで油や燃料は大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。当社のオイルシートは原紙に薬品を含浸加工しており、耐油・耐溶剤性に優れています。ただし使えるのは120〜150℃まで。それ以上ならビーターシートやBSジョイントシート(200℃まで)を検討してください。
Q. ビーターシートとBSジョイントシートはどう違いますか?
A. 使える温度は同じ−40〜200℃です。ビーターシートは相手面へのなじみ性と抜き加工性に優れ、BSジョイントシートは無機質補強材を使い、低面圧から高面圧まで幅広く使えます。詳しくはビーターシートとジョイントシートの違いで比較しています。
Q. アスベストは含まれていますか?
A. 含まれていません。当社の標準品はすべてノンアスベストです。ビーターシートは1985年からノンアスベスト品を製造しています。
Q. 小ロットや試作にも対応していますか?
A. 対応しています。0.075〜3.9mmの厚みを抄造でき、配合・厚み・サイズの調整やサンプル提供も行っています。図面がなくても、現物や写真からご相談いただけます。

セキネシール工業の立ち位置

セキネシール工業は、ユネスコ無形文化遺産・細川紙(小川和紙)の抄紙技術を礎に、ガスケット材および特殊機能紙を一貫開発・製造しています。ビーターシートガスケットでは国内シェア約80%。乗用車・商用車・建機・農機など約170社の取引実績があり、量産材から小ロット試作まで柔軟に対応します。

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「ガスケット材って結局なに?」という入口段階のご質問でも歓迎します。用途は決まっているのに材料が決められない、既存品の代替検討、紙系材料での置き換え可能性の確認など、まずは状況を軽く教えてください。1300年続く抄紙のノウハウを背景に、御社の用途にちょうどいい材料設計をご提案します。

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